Prologue〜カナダで
今、私はなぜ子どもたちに英語を教えるようになったのか、コーヒーの湯気が立ち昇ってはすぐに消える様をぼんやりと見ながら、思い返している。
高校生のころからずっとスチュワーデスになりたかった。
小さなころに観たテレビドラマのスチュワーデス刑事に憧れたからだ。
スチュワーデスになるために短期大学の英文科に入学し、カナダに留学した。初めはたった4か月のカナダ留学の予定だった。
9月に出国し12月には帰国する、そんな予定だったのだ。
結果から話すと、私はスチュワーデスにもならなかったし、当然刑事にもならなかった。帰国後すぐに短大を中退し、カナダにトンボ帰りして4年半もの長期カナダ留学になった。
長年抱いていた夢を投げ捨ててまで、どうしてもカナダに戻りたかった理由は、カナダで生まれて初めて「学ぶ喜び」を知ったからだと思う。
それほど学ぶことに貪欲で、同時に英語にも夢中だった。
帰国、そして英語講師になる
私の4年半もの長期カナダ留学は意外な形で終わりを迎えた。
両親が経済的理由でもう帰国して就職してほしいと連絡があったからだ。日本で就職。
何ができるだろう・・・と肩を落とす私の傍に 江國香織の「落下する夕方」という本があった。
ちょうど主人公が同じ名前のリカで、その女性が子どもたちに英語を教えていたので英語を教えるのがいいかもしれない、とその時なんとなく思ったのを覚えている。
地元の英語塾での勤務を経て、結婚、そして出産。子育ての合間にママ友に頼まれて英語サークルのようなものを何年か行った。
子どもたちに英語を教えている中で、心の中で引っかかっていたのは、本当に子どもたちは私のもとで、英語力を培うことができるのだろうか、という不安だった。
日本での英語教育に早々と見切りをつけて留学して英語力を得た私に何ができるのだろうか?
英語講師の養成講座や英語教育教材研究と名が付くものは、片っ端から受けていた。
その中で尊敬する先生に出会うことができ、私の教室では日本語を介さず、英語を話す子どもたちが育っているように見えた。
数年間は、私は私のレッスンに満足していたし、子どもたちの英語も、どんどん伸びていくように感じた。
けれど、いつからだろうか。
私が子どもたちに「正しい」英語を、子どもたちに求めるようになっていき、正解ばかり言わせようと誘導しているように感じて自分自身にげんなりし始めた。
子どもたちも、私の前で「間違えること」を恐れているように見えた。
分かっていることだけを英語で言う。 それ以外は言わない選択をしているのだ。
これじゃ、私が早々と見切りをつけた日本の英語教育そのものじゃないか、と自分に幻滅し始めていた。
英語教室を辞めようかとも思うほどだった。
そんな時、English Uplift のことを英語講師仲間から聞き、一縷の望みになると感じた。
子どもたちのことを考えたら、私が変わるしかないのは明白だったから。
English Upliftと出会った自分
English Uplift では、教室の軸を定めるために自分と向き合い続ける。
自分だったらどんな英語教育を受けたいか、子どもたちがどんな大人になってほしいと私は願うのか。
カナダから帰国後、初めて、なぜカナダでは「学ぶ喜び」を感じることができて日本では感じることができなかったのか。
『私』は『私を知る旅』に出ることができたのだと思う。
初めてマシュー先生とひろみ先生とお話した時に 「どんな英語講師になりたい?」と聞かれて、私は「子どもたちが間違いを恐れず、どんどん挑戦できて それを楽しめるようになる教室の先生になりたいです。」と答えた。
お二人に「なれるよ」と言われたときの衝撃を忘れない。
そして、その「なれるよ」は本当だった。
今、私の教室では、子どもたちが日本語を介さず英語で会話し、私の顔色を窺わずに、自由に情報の交換を行っている。自分の意見が尊重されることを理解しているから、安心して自分のアイデアを共有できるし 失敗を恐れる完璧主義ちゃんも、安心して失敗できている。(その方法は、是非講座で習ってくださいね)
私の教室の子どもたちは、愛おしい自立した学習者である。
「学ぶ喜び」は今再び私の中に駆け巡り、それを教室で、子どもたちに感じてもらいたいと日々奮闘している。
Epilogue
マシュー先生とひろみ先生は「なれるよ」と言った後に、「リカ先生がなると決めたら、なれるよ」と言った。
けれど。
マシュー先生とひろみ先生は神ではない。 そして受講した私たち講師も信者ではない。
ここまで読んでくれたあなたは、きっと私の教室の子どもたちか、数少ないファンか(きっと私の主人だけだろう)、もしくは教室運営に悩んでいる子ども思いの先生でしょう。
もし、あなたが変わりたいと思っているのであれば変われます。
教室の軸を決めて
腹をくくる
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