始まり
『森本さん、ちょうど娘さんと同じ歳くらいの子供達やから、いいんとちゃうか!』という、雇い主からの一言でした。
地元の英会話スクールにパート勤めしていた私の主な仕事は受付、ネイティブ講師と生徒さんのリエゾン的な役割でした。
そこに突然、舞い込んできた幼稚園での出向授業の仕事。
『ネイティブ講師が全部するので、子供のお世話係のように考えて貰ったらいいです』
そう前任者に言われ、気軽に引き受けた。
これが私の児童英語講師としての始まりでした。
責任感から
園での仕事を気軽に引き受けたものの、実際は自分が思っていた状況とは程遠いものでした。
1年ごとにネイティブ講師が変わる実情に加え、授業内容について周囲から言われるだけでなく、自分でも『いったい、誰が責任を持ってここの授業をするんだ?」と思うようになりました。
その思いの根底には、数年前に機会があって受講した児童英語講師養成講座で学んだ内容と重なる部分がなかったからです。
当時は英語講師になるつもりは全くなかったのですが、娘の英語教室選びのために自分も勉強しようと思って受講していました。しかし、そこで学んだことと照らしあわせて、『自分の娘をこの教室に入れたいか?』と自問した時に答えが『No』だったからです。
そうして、私はお預かりしているお子さん達への責任感から、team teachingの主導権を自分が握ってすることを決意しました。
それから
「今日のレッスンはよかった~~~」と思えるのは年に1度か2度ほど。
あとは毎回のようにレッスンプランや自分にダメだしするか、Team teachingしているネイティブ講師にダメだしする。(本人には伝えないで私の中で勝手ダメだし)
そして最終的には…
「こんなものでしょ!」
「も~~考えないようにしよう。」
「一生懸命してるんやからいいやん」と自分に言い聞かせる。
出版社のワークショップでは…
「なるほど~~~」と刺激を受けて、次の日からレッスンに取り入れてみる。
上手く行くときもあれば全然、思うようにいかないときも。どちらも、それっきりで終わり、後が続かない。
知り合いの先生との勉強会なるものや、集まりに参加して…話を聞いて…
「そうか~~こういう方法もあるのか」と気づきもあるものの、
「うちのクラスにあてはまる?」
「それはこの先生の生徒さん達だからできるんだな」
「うちはネイティブ講師もいるから、そうはいかないんだよな~~」
「この部分だけ参考にさせてもらおう」
全ては点でしかありませんでした。
そんなこんなで12年が過ぎていました。(この養成講座受講前で)
講師歴が長くなればなるほど、ベテランと思われる。でもそんな実力があるのか?無駄に時間だけが過ぎているのでは?
流れ流れてこの仕事をすることになり、「10年続けてみたら、それなりにものになる」ある有名人の言葉を胸に責任感だけで続けてきました。
しかし、その責任感が「本当にこれでよいのか?」「本当は何がしたいのか?」「もう10年過ぎているけど、ものになってる気がしない」という結果に。
そして10年が過ぎ、今のままで本当によいのか?何か他にできることはないのか?と思っていたときにこの講座のことを知りました。
説明会に参加したときは「成長できる」「変われる」と言う確たる気持ちが持てず、なかなか決断できませんでした。
ただ、この講座を知ったこと、説明会に行ってみようと思ったこと、このチャンスを逃したらもう自分は変わる事ができないのではないかと思う気持ち、色々考えていると不思議な力に引き寄せられ、締め切りギリギリで参加を決意しました。
受講して
出版社のワークショップでひろみ先生、マシュー先生のレクチャーは何度となく受けており、お2人の考え方などはある程度理解はしていたつもりでした。
しかし、講座開始前の課題から始まり、すべてにおいて新鮮で尚且つ奥が深く、常に自分に問いかけ、深く考えていました。ある種、今まで深く考えないでスルーしていた事、見ないふりをして蓋をしていた事をとことん考え、苦しみ、その中で自分自身と対話していました。
メソッドはもちろんのことですが、自身に欠けていた「教育者」であることの認識と、未来に輝く子供達を想像する力がこの講座を通して備わりました。
「教育者なんておこがましい」とずっと思っていました。
「お子さんをお預かりしている責任感だけでやってきました。崇高な精神などないです」と受講中に同期の先生の前で大泣きしたことがありました。
その時、自分の正直な気持ちが溢れてきたのだと思います。
そんな私が今は、方法だけでなく、心の在り方、自分はどうしたいのか、どんな子供達を育てたいのかを考え、ネイティブと一緒にレッスンをしていることで感じる英語力の劣等感、時として押し寄せる不安感など、すべてを含めて、
『This is me!』
これが私なんだ。この私だからできることがあると思えるようになりました。
そして、接する子供達、保護者にも私だから彼らと真摯に向き合い、英語教育を通して育んであげられること、サポートしてあげられることがあるのだ!と思えています。
すると不思議なことに、以前はストレスとも感じていた子供達のふざけた態度、落胆の原因ともなる日本語の多さと英語の発話の少なさ、悩みの種のレッスンの展開の仕方などの1つ1つにどう関わるか、講座で学んだ何をここで使うかが自分の中で見出せるようになり、そこに0.1mmでも前進があればそれを「よし」と考えられる自分が存在するようになりました。
そして何よりも子供達の多様性を本当に楽しめるようになり、以前にも増して子供達の顔が生き生きとしているのが感じられるようになりました。
出会い
これだけの内容を共にする仲間との出会いは本当に貴重なものになっています。
様々なことを一緒に学び、一緒に悩み、一緒に解決できる方法を考え、共に励ましあい、喜びあう。
スクールの同僚とは全く違う絆。
この年齢になり、こんな人間関係が築けるとは想像もしておらず、奇跡とも感じています。
勇気を持って、一歩踏み出したことで、自分自身、そして周りの環境がこんなにも変化できる。
そのようなステージに引っ張り上げてくれたこの講座に参加できた事で自分の次世代型こども英語講師としての未来を見出せたと感じています。
そしてそれが多くのお子さん達の輝ける未来へのサポートになっていると確信できています。
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